注目の公演《ノルマ》

7月1日・2日・4日の三日間、ベッリーニの《ノルマ》が、東京「日生劇場」で上演される。言うまでもなく、ベルカント・オペラの大傑作である。このヒロインのノルマを歌うのは容易ではない。そんじょそこらのソプラノは手がだせない。今回、その難役のノルマに挑むのはマリエッラ・デヴィーアである。
オペラ評論家の河野典子氏はその著書「イタリア・オペラ・ガイド」で、≪ノルマ≫について次のように記している。
ノルマを始め出演者たちは、深く息を吸って、それをコントロールしながら(一定の量の息をはきつづけ)そこに息を乗せて行くという、いわゆる「ベルカント・唱法」の完璧な技術がなければ、このオペラは成立しない。カラスが1948年にフィレンツェで蘇演するまで長く上演されなかったことも、その後もカバリエら数人のソプラノだけがこの役をレパートリーに出来ていることもその証左である。
……ノルマのカヴェティーナ「清らかな女神よ」のことを、「ベルカント・オペラのソプラノのアリアでもっとも難しい」とソプラノ歌手たちは声を揃える。(中略)…フレーニは自分の声とは似あわないノルマを演じるような無謀なことはしなかった。カバリエは、その完璧なベルカントの技術の枠をはみ出すことなく、声を優先して歌い切った。ルチアを得意としたリリコ・レッジェーロのマリエッラ・デヴィーアがこの役に手を出したのは60歳を超えてからだ。彼女をしてもまだ「ノルマ歌い」としての評価を受けるには至っていないが、現在では、彼女が唯一、その名を手にする可能性を持った歌手であろう・
イタリアの歌劇場での《ラ・トラヴィーアータ》には「マリア・カラスの亡霊がいる」と言われ、ヴィオレッタを歌うソプラノはカラスと比較されることをずっと余儀なくされてきた。しかし、このノルマに至っては、亡霊どころか、いまだに彼女の支配から逃れられた者は誰ひとりいないのが現状である。……
さて、今回、日本におけるオペラ舞台の集大成としてノルマを歌うデヴィーアはどのような歌唱を聴かせてくれるだろうか。

この公演は共同制作公演として2017年10月22日(日)川崎市スポーツ・文化総合センター、10月28日(土)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールでも上演される。チケット発売中である。

お問い合せは:藤原歌劇団https://www.jof.or.jp/performance/ /TEL:03-6721-0874

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